今日からぼくは

一歩ずつ一歩ずつ

全てが怖かった

あのときぼくはこの世の全てが怖かった

とにかく怖かった

 

会社に行くのも

誰かに会うのも

話すのも

買い物に行くのも

何かを食べるのも

その行為をしている自分も怖かった

 

周りの人も輝いて見えた

それに比べて立ち止まっている自分が惨めに思えた

そんな惨めな自分を見られたくなくて

SNSも全部消した

同窓会にも行かなかった

友達とも一切会わなかった

自分の存在をなかったことにしようともした

生きることも死ぬこともできない自分にも絶望し塞ぎ込んだ

 

本当に無気力で明日なんて来なければいいと思った

 

でも明日は残酷にもやってきた

毎日同じ時間に起きて毎日同じ時間に会社に行った

正直あの時のことはよく思い出せない

ただ会社に行って勤怠ログをつけていただけだったと思う

何も手につかなかったし仕事などしていなかった

 

インターネットで同じような境遇の人の記事を探したりもした

自分がこの状況から救われる答えがあるのではないかと思っていた

今考えると滑稽だが当時は本当にそう思っていた

でも立ち直った人の記事の内容と自分の現状を比較しては落ち込むことを繰り返しただけだった

 

とにかく全てが怖かった

今でもこの恐怖は残っている

正直その辛さを乗り越えた美談として語りたかったが

どうやらぼくはそれほど強い人間ではない

今でも心は燻っているし

得体の知れない何かに常に怯えている

でもいつかこれを飼い慣らしてやりたいと思うようになった

 

不安や恐怖を感じやすい自分は変えられない

この自分で生きていくしかない

かなりなディスアドバンテージを背負っているがそれでも進むしかない

そう考えられるようになっただけでもマシなのかな

 

一歩ずつ一歩ずつ